Kennyの一橋大学日本史対策

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靖国神社参拝の問題は何か


今日、安倍首相の靖国参拝に関するニュースがありました。

2013年12月の安倍首相の靖国参拝について、損害賠償を求めた訴訟の判決があり、大阪地裁は原告の請求を退けた一方で、憲法に違反するかどうかや、参拝は公的か私的かの判断は示しませんでした。

 

首相の靖国参拝憲法違反になるかどうかはともかく、アジア諸国をはじめとする国際世論が日本の首相が靖国参拝することを快く思っていないことは事実です。

なぜ、日本の首相が靖国神社を参拝すると問題になるのでしょうか。

 

靖国神社って、どんなところ?

皆さんは、「靖国神社戦没者を慰霊する神社」だと思っていませんか。

「国のために命を落とされた方々のために参拝するのは当たり前だ」なんて政治家の発言から、我々は靖国神社戦没者の追悼施設だと誤解しがちです。

実は、靖国神社戦没者の慰霊施設ではなく、戦没者を神として崇める神社なのです。

靖国神社は、戦没者を死してなお国を守り続ける護国の英霊と捉えています。

明治天皇を神様とする明治神宮菅原道真を神様とする太宰府天満宮などと同様に、靖国神社戦没者を神として崇め、すがるための場所なのです。

 

A級戦犯合祀問題とは

アジア諸国(特に中国)が首相の靖国参拝に反発する最大の理由は、靖国神社A級戦犯を他の戦没者と同様に祀っているからです。

中国はアジア・太平洋戦争について、戦争責任は日本の軍部・指導者(A級戦犯)にあり、日本国民は他国民と同様に侵略戦争の被害者であるという見解をとっています。

したがって、A級戦犯を「昭和殉難者」として祀る靖国神社に首相が参拝することを中国は認められないのです。

A級戦犯分祀(他の場所に移すこと)せよ」という主張もありますが、靖国神社分祀神道的に無意味(分祀したとしても神霊は同じ場所に残る)であることなどを理由に、戦犯分祀を拒否しています。

 

靖国神社歴史観

靖国神社には遊就館という戦争記念館が併設されています。

では、靖国神社遊就館はアジア・太平洋戦争をどのように捉えているのでしょうか。

戦没者を神として崇めていることから容易に想像できると思いますが、靖国神社はアジア・太平洋戦争をアジア解放のための正戦だったと主張しています。

すなわち、日本は欧米列強による植民地支配からアジア諸国を解放するために戦ったとする大東亜戦争史観自由主義史観)ですね。

また、東京裁判についても「茶番劇」として全面否定しています。

この大東亜戦争史観が中国や韓国をはじめ世界各国、そして日本国内の歴史学会においても全く受け入れられていないことは言うまでもありません。

歴史学の方法に則って史料批判をすれば、このような結論には至らないからです。

とはいえ、近年インターネット(ネット右翼)を中心に、靖国神社が主張するような大東亜戦争史観に追随する人々が出てきていることも事実です。

 

靖国神社参拝の問題点

首相が靖国神社に参拝することの問題は、この靖国神社歴史観にあります。

すなわち、靖国神社に参拝するということは、靖国神社が主張する大東亜戦争史観を認めるということになるわけです。

もちろん、アジア・太平洋戦争をどう見るかは各人の自由です。

しかし、日本の首相がアジア・太平洋戦争を肯定するような主張を認めることは、国際社会への影響(アジア諸国への刺激)を考えれば、許されません。

 

靖国神社参拝問題をどう解決するか

まず、「戦犯分祀」問題については靖国神社の言う通りです。

分祀したところで神霊は靖国に留まり続けますし、靖国神社が誰を祀るのかは宗教の自由がありますから、他者が介入することは出来ません。

ただし、上で述べたように、靖国神社に参拝するということは靖国神社の主張を認めるということになりますから、靖国神社大東亜戦争史観を主張する限り、たとえ戦犯分祀が実現したとしても、首相は靖国参拝すべきではありません。

 

では、「日本のために命を落とされた人々に感謝し、追悼する」ためには、どうすれば良いのでしょうか。

アジア・太平洋戦争の追悼施設は、全国各地にたくさんあります。

総務省|一般戦災死没者の追悼|追悼施設

実は、今上天皇靖国神社に参拝したことはありません。

戦没者を追悼するだけならば、わざわざ靖国神社に参拝しなくても良いのです。

にもかかわらず首相が靖国神社に参拝するということは、アジア・太平洋戦争に対する政治的意味・主張が含まれていると他国に捉えられて当然です。

公的・私的を問わず、日本の首相は靖国神社に参拝してはならないと僕は思います。

 

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